小口研究室    東京大学空間情報科学研究センター
HOME研究内容 >礫形状
Keywords: 地形学, 3次元, レーザースキャナ, 球形率, 円磨度

レーザースキャナを用いた礫の三次元形状の定量的評価

礫の「かたち」をどう見るか――丸い?四角い?楕円たい?


3-D laser scanner

 地形学,堆積学において,礫の形状は堆積環境を反映するため,たとえば地層に含まれる礫の形状から古環境推定できるといった点で重要である.しかし,これまでの研究でよく使われてきた礫の形状指標(円磨度,球形率)はその定義が複雑であり,定量的に評価することが困難であった.そこで本研究では,まずレーザースキャナを用いて礫の3次元モデルを構築し,礫の形状を従来よりも精密に計測した.この3次元モデルからは,これまで計測不可能であった表面積の情報を得ることができる.さらに,これにより得られたデータから,既存の礫の形状指標(とくに球形率と円磨度)の有効性を検討した.

 栃木県,茨城県を流れる那珂川中流域の河床から採取した長径7〜12 cm の礫サンプルを41個,レーザースキャナで3Dスキャンした.これら解像度0.4〜1 mm の3次元ポリゴンモデルから,以下の形状パラメータを計測した.

・長径,中径,短径( a ,b,c )
・体積( V )  → 名目直径( dn ),名目表面積( sn )
・表面積( S )  → 元来の定義による球形率( sn / S )
・球形率の代替指標( dn / a )
・目視による円磨度( Xv )
・ 礫とa, b, c が等しい楕円体の表面積( en )
 → 楕円体率( en / S ) :球形率に代わる指標
・表面積-体積比( V / S(abc)3/2 ) :円磨度に代わる指標

 これらのパラメータを用いて分析を行い,既存の球形率に関する指標は有用性が低いことが判明した.また,球形率よりも適切な礫の「かたち」の指標として「楕円体率」を提案した.さらに,円磨度に代わる新たな指標を見い出した.


関連文献

(早川裕一)

Copyright © 2006 Oguchi-Lab. All rights reserved.
created on 2006/5/31