オントロジーとはもともと,哲学分野で「存在論」とされる領域ですが,近年工学の分野を中心に「概念の設計図」という意味で使用され,他の分野に影響を与えつつあります.
例えば「リンゴとは何か」という問いに対しては,複数の視点から回答できます.「果物」と答えれば正解のように思えますが,そうではないのです.あるときには「クロスボウの的(ウィリアム・テル)」であり,また「重力発見のきっかけ(アイザック・ニュートン)」でもあり,さらには「白雪姫を眠らせる」こともあるわけです.
What is an apple? |
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このように「リンゴ」の意味は多様であり,また「リンゴ」を構成している要素,「リンゴ」の種類,「リンゴ」以外のモノとの関係なども多様です.オントロジーはこうした複雑な関係を,コンピュータが理解できるような書式で表現します.具体的な記述形式として,Web Ontology Language(OWL)の開発が進んでいます.
この研究室では,オントロジーを地理学の分野で活用する方法を研究しています.具体的には土地分類体系をOWLで表現することで,様々に異なる土地被覆の分類基準を統合する可能性を探っています.異なる土地分類体系のカテゴリーを統合するために,GISの解析機能を用いた定量的なアプローチも試みています.