SSC(懸濁物質濃度)は河川の濁りを表す指標である.SSCは水中の無機物・有機物の両方を反映し,自然のプロセスと人間活動に規定される.日本の河川の水質は一時期に比べて大幅に改善したと言われているが,都市部の河川における水質基準の達成率,特に有機物量の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)の水質基準達成率は低い.また,近年は降雨時に市街地の地表面や農地といった面源から流出する物質による水質汚濁が顕著である.
当研究室では,イギリスの生態学水文学研究所と共同で,日本の関東〜中部地方とイギリスの東部イングランドを対象に,GISを使用して河川水質の空間分布や周辺の土地利用状況との比較を行っている.
荒川流域のSSC(左図)・BOD(中図)・COD(右図)の最頻値の分布図
イギリスのAire川(左図),Don川(右図)流域のSSC平均値の分布図