IGU 2013 - KYOTO REGIONAL CONFERENCE
2014年5月

 2013年京都国際地理学会議(KRC)が成功裡に終了してから、約9ヶ月がたちました。これまでに出ている、あるいは、出る予定のKRCの報告について、お知らせします。

 まず、IGUからは、IGU E-Newsletterの 「New Series 8, October,2013」(PDF)「New Series 9, January, 2014」(PDF)、および、「2013 Annual Report of the International Geographical Union」(PDF)が出ています。

 国内では、「2013年京都国際地理学会議の報告」が「地理学評論」 87巻1号(2014)83-84頁、および、「2013年京都国際地理学会議の報告」(PDF)が「人文地理」 66巻1号(2014) 80-108頁に、掲載されています。また、開会式における「秋篠宮殿下のご祝辞(英文)」(PDF)の全文が、「人文地理」66巻6号(2013)1-3頁、に掲載されています。また、発表件数の多かったコミッション・セッションの報告が、月刊雑誌「地理」4月号(2014)から連載が開始されています。さらに、2013年8月4日に開催されました市民公開講座での楊逸氏の特別講演および座談会の内容も、まもなく「地理」に掲載予定です。

 さらに、KRCの全体セッションで、会議テーマ「地球の将来のための伝統智と近代知」に関する基調講演として、伝統智、環境、東日本大震災の3つのサブテーマごとに、各サブテーマについて3名、合計9名からご講演いただきました。これらの講演をまとめた“Traditional Wisdom and Modern Knowledge for the Earth’s Future”が、日本地理学会英文叢書の第1巻として、Springer社から2014年3月に出版されました。


IGU会長の挨拶


皆様

 日本の京都において2013年8月4日~9日に開催される、世界的な地理学の祭典である国際地理学連合 (IGU) 京都国際地理学会議に皆様をお迎えできることを、大変光栄に存じます。

 この会議を主催する日本の友人たちは、「地球の将来のための伝統智と近代知」をメインテーマに掲げ、会議の開催地として京都を選びました。そして、この脆弱な惑星で、人類が持続的に生きてゆくために取り組むべき諸課題に対する過去と未来の地理学的解決策を、しっかりと調べ検討するのに最もふさわしい舞台設定をしてくださいました。

 どうか皆様、この会議が開催される日を、今から予定表に記入しておいてください。そしてアブストラクトの提出期限や参加登録の締切日、宿泊、巡検、ソーシャル・イベントなどについての情報を、このホームページでご確認願います。

 2013年8月に、皆様に京都でお会いできることを楽しみにいたしております。

国際地理学連合 (IGU)
会長 ロナルド・アブラー

 

京都国際地理学会議への招待


 日本における地理学コミュニティを代表し、このたび、2013年の8月4日~9日に開催される国際地理学連合(IGU)の京都国際地理学会議への参加呼びかけを申しあげますことを、たいへん光栄に思います。

 この会議のテーマは、「地球の将来のための伝統智と近代知」です。京都は日本の古都であるとともに、1997年12月に採択された京都議定書との関連で、今日、世界的に知られています。この議定書が生まれたのが国立京都国際会館ですが、われわれは同会館での会議開催を予定しています。この京都国際地理学会議が、世界的な環境問題への取り組みやそれに関する世界的な理解の高まりという点で、この記念すべき会場に新しい歴史を付け加えることを期待しています。

 2011年3月11日に発生した地震、さらに、福島原発の事故を含む、その後の未曾有の災害は、日本のみならず全世界を揺さぶり、これを契機として、きわめて多くの人々が、既往の価値、優先事項、生活様式を再検討することになりました。京都国際地理学会議は、この重大な問題をめぐる情報交換、考察、ネットワーク作りのための格好の機会も提供することになります。

 さらに、会議出席者は京都市内やその近郊、および国内他地域への巡検に参加可能です。これらの巡検の計画は、国内の地理学組織のご協力を得つつ、組織委員会内の巡検委員会によって、現在作成中です。

 2013年夏に、多くのみなさんを京都でお迎えするのを、楽しみにしています。

京都国際地理学会議組織委員会委員長
石川義孝

IGU日本委員会委員長 
春山成子

 

会議テーマ「地球の将来のための伝統智と近代知」


 過去20年間にわたり、グローバリゼーションは、世界の国・地域の間の関係を再編し、世界の地理を大きく変えてきました。この変化は局地的、地域的、あるいはグローバルなスケールでの、経済的不均衡、社会の分裂、政治的摩擦、環境の危機といった諸問題を目立たせてきました。世界の多様性を認識した上で、学問としての地理学は,世界の多くの人々の協力と共生を図ることによって、こうした問題に取り組む必要があります。

 中国の古典からとられた日本の格言「温故知新」は、新しいものを理解する上で,古いものの探究が鍵となると教えています。私たちは、社会・文化と環境との相互作用についての伝統的な考えが、いろいろな国・地域でどのように形成されてきたのかを、まず理解しなければなりません。幸い、日本を含む東アジア諸国は、その長い歴史の中で、このような相互作用についての豊かな智恵を育んできました。環境との調和をはかる伝統智は、現代にも生きています。京都国際地理学会議では、このような伝統智、そして近代地理学がもたらした近代知が、地球の将来像をどのように描けるか、を考えます。

 京都国際地理学会議の会場として予定されている国立京都国際会館は、1997年に開催された国連気候変動枠組条約締結国会議の会場でもあり、そこで有名な京都議定書が生まれました。京都議定書は地球温暖化の防止を目指したものでしたが、京都国際地理学会議では、社会・文化と環境との関係をめぐる諸問題を広く検討し、地球の将来について包括的な討議を行うことを目指します。日本の古都であり、大都市としての長い歴史を持つ京都には、「伝統智」の観点からみても魅力的な場所が多くあります。

 2011年3月11日の東日本大震災や津波、およびその直後に起こった東京電力福島第1原子力発電所の事故が、きわめて甚大な被害をもたらしたことは、私たちの深い悲しみとするところです。2012年3月前半の時点でで、1万5,800人以上の死亡が確認され、3,000人以上が行方不明とされています。また、多くの人々が、故郷を離れ、困難な避難者生活を余儀なくされてきました。しかしながら、この悲劇もまた、会議テーマとの関連で、慎重な討議の対象となるでしょう。

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