以前の記事 http://oguchaylab.csis.u-tokyo.ac.jp/news/2010-03-1188.html に関する補足です。
この論文を簡潔にまとめると、以下のようになります。

「地形」は我々の足元をなす地球表層の重要な要素であり、地殻変動や地質、気候などさまざまな条件によって侵食・堆積を繰り返しつつ変化します。岩盤河川は山地の侵食地形を代表する一つですが、本研究ではこの岩盤河川地形の平面形に対する気候、とくに台風による豪雨頻度の影響を空間定量的に解明しました。

対象とした岩盤河川は日本列島および台湾、フィリピン等を含む、西太平洋地域の低緯度から中緯度まで広範囲にわたります。まずはスペースシャトルによりレーダー計測された全球数値地形モデルに基づき、地理情報システム(GIS)を用いて穿入蛇行する山地岩盤河川の蛇行度の定量化を行いました。次に日本列島において詳細な地質区分と、日雨量50-mm以上の豪雨頻度との対応をみると、強度の低い岩石であるほど河川の穿入蛇行は大きくなるものの、どの地質区分においても、豪雨頻度が高くなるほど蛇行度も大きくなる傾向がみてとれました。さらに地理空間的に平均した蛇行度は、南北方向に比較すると亜熱帯地方で最大値を示し、赤道および中緯度に向けてそれぞれ減少することがわかりました。これは、台風の経路データからもたらされる台風襲来頻度と一致する傾向であり、地形と気候との相関が空間定量的に示されたといえます。

meander bend at the mid oi river, shizuoka
[ incised meander – 穿入蛇行する大井川 ]

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